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   <title>ウルトラ考</title>
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   <published>2007-11-15T10:13:26Z</published>
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　「仮面ライダー」シリーズに時代のトップはとられたとは言え、「ウルトラ」ブランドは強力だ。なにしろライダーの倍は製作費がかかっているのだ。光学撮影やミニチュアの魅力は東映とは比較にならない。<br />
　「ウルトラマンＡ」で完全に確立された「ウルトラ兄弟」の設定を究極の形にしたのが１９７３年開始の「ウルトラマンタロウ」だった。人気のあるウルトラセブンにウルトラの父の角をつけただけの風貌。そして「タロウ」という、およそＳＦに似つかわしくない名前。ここで完全に「ウルトラＱ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」の視聴者層は去って行った。しかし、当時の世相でクールなＳＦドラマなど誰もウルトラには求めておらず、この選択は正しく時代を反映していたのである。徹底的に開き直った新しいウルトラ世界。その象徴が主題歌である。惜しくも先日亡くなった天才・阿久悠の作詞。<br />
　「ウルトラの父がいる　ウルトラの母がいる　そしてタロウがここにいる」<br />
　当たり前だろう！<br />
と突っ込むのもバカバカしいその詞。この最初のフレーズで、思考停止の怪獣たちがただ暴れてそれをウルトラのファミリーたちが倒すという、「君にもタロウの脚本は書ける！」と揶揄されたふざけ世界が始まることを実に見事に言っていたわけだ。ちなみに阿久氏の長男の名前が奇しくも「太郎」。当時六歳の彼がデザイン原案の怪獣・アリンドウも登場する。とにかく見た目の派手さ、お祭り的な展開はシリーズ一。ウルトラマンのファミリー化もここに極まれりとなった。<br />
なかでもテンペラー星人を倒すためにウルトラ六兄弟が揃う回は圧巻だ。ウルトラマン変身前のハヤタ、セブンのモロボシダン、帰ってきたウルトラマン・郷秀樹、ウルトラマンＡ・北斗星司が揃い踏み。長兄のゾフィーは大谷博士に乗り移り、初めて人間体として登場する。ちなみにトリビアとして、この大谷博士を演じたのが竜崎勝。現在のフジテレビ人気アナ・高島彩の父である。ということは、アヤパンはゾフィーの娘だからウルトラ族なのだ！<br />　…………　閑話休題。<br /><br />
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　彼らは自分の力だけで星人を倒せる、と慢心するタロウを獅子の子のように千尋の谷に突き落とす仕打ちをする。そして改心したタロウは真のウルトラ兄弟の仲間入りを果たし、六人は力を合わせてテンペラー星人を倒すのだ。しかし、このようなドラマ展開の作品が、後に深刻となる社会問題の遠因である、と言ったら読者諸君は驚くだろう。<br />
　ウルトラ兄弟もライダーも、正義の味方の頭数が増えすぎた。絵的な面白さからそうなっていったのだが、結果的に「沢山のヒーローが一匹の怪獣をよってたかって倒す」という映像が数多く放送されることになってしまったのだ。これは、最初からヒーローが５人の「秘密戦隊ゴレンジャー」が登場するに及んでますます確立される。そう、本作は現在まで延々と続く戦隊シリーズの原点なのだ。<br />
　それらを幼少期に見て育った子供たちに、なんの問題が起こったか？　「いじめ」である。かつては考えられなかったような陰惨ないじめ問題が顕著になったのは⑱年代。もちろんヒーロー番組のせいとは言わないが、幼児期の彼らは「ウルトラマンやライダーも大勢でかかって一匹の怪獣や怪人を倒していた」という記憶が絶対に心の片隅にあるのである。そんな彼らが現実にいじめのシーンに参加した時、「これは昔見た光景だ」として、しかもそれが高揚感のある思い出だとしたら、どこかで心の箍ははずれてしまうだろう。あながち穿った見方ではないのである。<br />
　ウルトラセブンが初めてウルトラマンを助けに来た「帰ってきたウルトラマン」以前には、複数のヒーローが登場した番組はなかった。<br />
彼らはあくまで一人で地球を守り、去っていったのである。<br />
　そして、２００６年公開の劇場映画「ウルトラマンメビウス＆ウルトラ兄弟」も本作の世界の焼き直しであり、結局一歩も進んでいないのだ。<br />「ウルトラマンタロウ」。それは、ヒーロー番組の極北である。
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　　　河崎実
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